茨城「魅力度」最下位、脱出策は…

 民間調査会社「ブランド総合研究所」が昨年10月に発表した都道府県魅力度ランキングで、5年連続の最下位になってしまった茨城。何かと話題になるその「魅力」をテーマに、魅力度ナンバーワンを目指す大井川和彦知事(53)、ブランド総研の田中章雄社長(58)、「イバラキング」の名で執筆活動をしている青木智也氏(44)の3氏に話を聞いた。魅力度アップの秘策はあるのか-。(鴨川一也)

                  ◇

 □大井川和彦知事(53)

 ■頂点狙う努力に意義

 われわれがやらなくてはならないのは、ランキングに一喜一憂せず、本質的な部分で茨城の魅力そのものを高め、もっと発信する。これに尽きます。

 知事選で県内を回って、特に私が感動したのは行方市から見た「ダイヤモンド筑波」。霞ケ浦越しの筑波山に夕日が沈んでいく。思わず車を止める美しさでした。県内各地には、無名だけど競争力を持っておかしくないものがたくさんあることにも気付きました。

 でも、「茨城」ブランドとして出回っていないから県外で認知されていないかもしれません。これが課題で、茨城の良さをしっかり世の中に伝えられないかと思っています。

 農業を例に挙げると、より極めた高品質のものを作って高い値段で売ることが必要です。山が高くなければ裾野は広がりません。本当に農業を発展させようとしたら高く売れるブランド農産物を作って山頂を高くし、山全体を大きくしていく。大きな強い産業に育つとはそういうことです。トップ企業やトップブランドにこだわる政策が必要かもしれません。

 いずれにせよ魅力を上げるのに「これだ」という秘策はないので、試行錯誤しながら挑戦していきます。

 知事就任から3カ月が過ぎました。来年度予算案から本格的に私のカラーを出していきます。常に狙うはナンバーワンです。魅力も一番を目指して努力し続けることに意義があります。「現状で満足しちゃいけない。もっとできるぞ」と県職員を感化し、ともに頑張っていきます。

                  ◇

 □ブランド総合研究所・田中章雄社長(58)

 ■「まずは愛着度1位目指せ」

 「魅力度」はその地域が持つブランド力を数値化したものです。ブランド力とは「多くの人が同じイメージとして共有できる力」で、例えば北海道夕張市といえば夕張メロン、沖縄県石垣市といえば青い海と白い砂浜を多くの人が思い浮かべます。この共通イメージが地域全体の魅力を引っ張り上げるんです。

 つまり魅力度ランキングを上げるには、「茨城と言えば?」と聞かれたときに、全員が同じ回答をするような「統一イメージ」を作るべきです。水戸市は納豆や水戸黄門、つくば市は科学の街というイメージがわきます。県全体で見たときに「何でもあるよ」と答えるのは「何にもないよ」とイコールなんです。

 例えばこういう戦略はいかがでしょうか。茨城を南北で「筑波国」と「常陸国」に分けて、筑波国は最先端研究や科学技術を、常陸国は豊かな自然を売りに出す。イメージを拡大するのではなくて集中することです。

 もう一つ有効なのは「インターナルブランディング」です。これは県民に茨城の魅力を再認識してもらい、周囲に伝えることで魅力が広まるという手法です。私たちは県民の愛着度調査もしていますが、愛着度は魅力度と高い相関関係があります。実は愛着度ランキングでは茨城は44位。1位の沖縄は回答者の約9割が「愛着がある」と答えています。

 茨城もまずは「愛着度1位」を目指してみてはいかがでしょうか。その過程で魅力度ランキングも大幅に上がるに違いありません。

                  ◇

 □イバラキング・青木智也氏(44)

 ■「究極のマイナー感楽しめ」

 魅力度ランキング最下位は茨城にとって必要悪のようなものですかね。不名誉な記録ですが、もっとPRしようという気持ちになるし、最下位が実は一番宣伝効果が高い。真に受けず、ランキングは県民の危機感を煽(あお)る「カンフル剤」と捉えましょう。

 茨城の魅力は「いいあんべえ(良い塩梅(あんばい))」だと思います。何か突出している「一点突破型」ではないですけど、都会過ぎず田舎過ぎず、総合力や平均点では上位のはず。この平均さが中途半端に見え、評価につながらないのでしょう。

 東京からUターンした24歳のとき、上京した県民が感じたギャップを共有すればウケると思ってホームページを作り始めました。

 都会へのコンプレックスから逃げずに、茨城をポジティブに捉えましょう。茨城弁も恥ずかしいけど、県民である自分たちが聞いても笑ってしまうことがありますよね。その面白さを恥ずかしがらずにどんどん広めた方がいい。

 今はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で誰でも発信できる時代。自分も茨城弁の語源や「河内町は面積の半分以上が水田」といった統計データを投稿しています。

 高校生のとき、友人が家に遊びに来て、「青木ん家からは地平線が見える」とばかにされました。建物がなく、水田が広がっているからです。でも平野って、山がちな(地形の)日本では珍しい。誇れる風景の一つです。水田の写真をSNSに投稿すると、「広大だ!」「どこ?」と結構反応があるんですよね。

 47位という究極のマイナーさを卑下せず、積極的に楽しんで魅力を見つけたり、広めたりしましょう。

                  ◇

 □茨城大学・田中耕市准教授(43) 人文地理学

 ■「農林水産・食品」で勝負

 ブランド総研が行っている「地域ブランド調査」は、47都道府県と1千市区町村を対象に、約100項目をインターネット調査しています。

 調査項目のうち、「魅力度」「観光意欲度」「居住意欲度」に注目すると、観光意欲度が居住意欲度よりも約3倍も都道府県の魅力度につながりやすいという分析結果が出ました。観光地としての評価が魅力度に強く反映されています。「住みやすいのになぜ魅力度が低いのか」とよく聞きますが、これは的を射ている疑問でした。

 調査項目を13分野に分け調べたところ、「観光・レジャー」「農林水産・食品」「生活・買い物の利便性」「歴史」の順に、これらの分野での高評価が魅力度につながりやすいことが分かりました。

 つまり試験に例えると、この4分野が配点の高い科目です。単純にランキング上位を狙うなら4分野の施策に力を注ぐという考えも一つです。

 「農林水産・食品」分野では地名と地域ブランド食品が強く結び付く自治体が上位に来ていましたが、茨城の市町村は見当たりません。

 農業大県の茨城はこの分野で勝負してみてはいかがでしょう。

会員限定記事会員サービス詳細