物事に対する決まったやり方を表す「定石」。ある局面で、長年の研究によって最善の形とされる決まった打ち方からきている。
「われわれが捨て石となります」の「捨て石」。囲碁で後々の利益のために、わざと相手に取らせる石のことをいう。まったく無駄になるという意味ではない。
スポーツ界で問題になることがある「八百長」は、八百屋の長兵衛(通称・八百長)が碁の対局で、勝ち負けを調整したことが語源とされる。
諸説あるが「結局」も囲碁由来といわれる。囲碁を一局打ち終えることが語源で、「終わり」や「とうとう」の意味にも使われるようになった。
普段使われる囲碁由来の言葉は多く、盤上でのやりとりは人間模様そのものかもしれない。
囲碁や将棋などの「遊戯史」を研究する大阪商業大学アミューズメント産業研究所の主任研究員、古作登さん(54)は「1千年以上もの間、人々の共感を得てきたのは、人々の知的好奇心を満たす高いゲーム性や奥深さであり、それだけ日常生活に溶け込んできた。囲碁は単なるゲームではなく、高い精神性のもとで繰り広げられる人間ドラマでもあり、それが実際の生活にも当てはまるのでしょう」と話している。