理研が語る

薬の出前? ドラッグデリバリーシステム=薬を狙った場所にピンポイントで送り届ける技術 50年後の医療のために

【理研が語る】薬の出前? ドラッグデリバリーシステム=薬を狙った場所にピンポイントで送り届ける技術 50年後の医療のために
【理研が語る】薬の出前? ドラッグデリバリーシステム=薬を狙った場所にピンポイントで送り届ける技術 50年後の医療のために
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 「専門は何ですか?」と聞かれ、「ドラッグデリバリーシステムの開発です」と答えると、きょとんとされることが多い。そこで続けて、「私たちの体の中での薬の動きを制御する方法を作っています」と説明することにしている。

 多くの薬は服用した後、患部だけでなく正常な組織にも分布して副作用の原因になる。新薬の開発の際には、効果が高いにもかかわらず、強い副作用のために途中で断念に追い込まれることもある。そこで、薬を体の中の狙った場所だけに送り届ける技術が必要不可欠であり、私はこうした研究をしている。

 さて、私は研究テーマを考える時、30年後、50年後の医療はどうなっているのかを想像してみることにしている。医療の進歩はテクノロジーの進歩に大きく依存してきた。化学合成技術の進歩は多くの抗生物質や抗がん剤をもたらし、最近ではバイオテクノロジーにより、免疫を利用した抗体医薬などの先進的な医薬品が生み出されている。さらに、iPS細胞など幹細胞研究の成果である再生医療は、今後10年、20年のうちに医療を大きく変えていくだろう。つまり、大学や公的研究機関の研究者である私たちは長い視野を持ち、その時々に萌芽期にあるテクノロジーを医療へどう応用していくかを研究していくことで、次々世代の医療の礎を築いていくのが役割だ。