半島有事シミュレーション 米の北攻撃、3月18日以降 「武力行使 条件整っている」

 米軍が北朝鮮を攻撃する場合、約26万人といわれる在韓米国人の非戦闘員退避作戦(NEO)が問題となる。韓国国内には長期・短期あわせると約5万7千人の日本人もいる。有事が不可避となれば、民間航空機で帰国させるが、有事目前に迫るまで韓国国内にとどまる人たちもいる。

 状況が緊迫化し、民間機が運航しなくなるとき、自衛隊の輸送機や艦艇の派遣が不可欠となる。この場合、韓国政府の同意が必要だが、そのメドはたっていない。

 仮に同意が得られたとしても、自衛隊による邦人保護は活動地域での安全確保が条件だ。

 国会審議で「過去、居留民保護の名目の下、軍隊を派遣して戦争に巻き込まれた。自衛隊を海外に派遣すべきでない」との反対があり、結果として「安全が確保される」という条件の下、「邦人輸送」という法案になった。

 NEOの責任者・航空支援集団司令官を務めた織田氏は振り返る。

 「自衛隊は安全が確保されないと行けませんといえるのか。いつも疑問に思っていた」

自衛隊縛る現実

 NEOなどに加え、米国内での予備役招集が開戦間近の重要なシグナルとなる。織田氏は「ベテランが多い予備役は最強だ。湾岸戦争でもイラク戦争でもそういう動きがあった」と説明する。

 開戦前2週間ほどになれば、一切の情報が外部に漏れない「インフォメーション・ブラックアウト」となるという点で、織田氏と海上自衛隊の香田氏の見解は一致する。

 では、米国は日本に事前に通報するのか。香田氏は「日本にとって非常につらい現実」を語る。

 「ブラックアウトが起きたとき、日本は情報を得られない。憲法があり、いまの安全保障法制の限界なんです。米国は日本に情報提供する義務はない。『ドナルド・シンゾー』の関係で言ってくれるかもしれない。でもそれは実は同盟の枠外です」

 自衛隊が役割を果たすことはあるのか。実際の戦闘が始まれば、自衛隊は警戒監視、後方支援、機雷除去、米兵の捜索救難など多様な任務に当たるとみられる。

 日本の有事一歩手前の「重要影響事態」では活動現場で戦闘が始まれば自衛隊は撤退しなければならない。

 この点について香田氏は「北朝鮮の対艦ミサイルが届かない範囲で十分に活動ができる。海上の後方支援に問題はない」と説明する。

 香田氏が「北朝鮮有事では米国対北朝鮮、韓国防衛のための米韓合同作戦、日本防衛という3つの異なる作戦が行われる」と述べるように、日本国内でも有事は発生し得る。

 織田氏は「日本も特殊作戦の標的になる。潜伏している特殊工作員が在日米軍の活動を邪魔しようとするだろう」と語る。