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北朝鮮の核・弾道ミサイル排除を目的として、米国は先制攻撃するのか。踏み切るとしたらいつ、どのような形になるのか。海上自衛隊の香田洋二元海将、航空自衛隊の織田邦男元空将が起こりうるシナリオを予測した。
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3つの可能性
「北朝鮮が本当に核弾頭搭載のミサイルを持って暴れ出したらコントロールできなくなる。それをわれわれは認めますかということですよ」
こう語る香田氏は、北朝鮮を阻止するため米国が攻撃に踏み切るタイミングとして、3つの可能性を挙げる。
(1)最短が平昌五輪1カ月前の1月8日までの間(2)3〜4月に予定される米韓合同軍事演習「フォールイーグル」の期間中(3)11月の米中間選を控えた夏-だ。
織田氏はトランプ米大統領が先制攻撃を決断するとすれば3月18日以降だとみる。この日はロシアの大統領選の投開票が行われる。
「ロシア大統領選が終わるまで米国は下手に動けない。ロシアがさらに反米・反トランプになる恐れがあるからだ」(織田氏)
ただ、米国といえども北朝鮮の核開発を阻止するための「予防戦争」は国際法上の制約から難しいとの見方で両者は一致する。あるとすれば、緊急避難的に北朝鮮の脅威を除去する「先制攻撃」だ。もっとも予防戦争と先制攻撃の線引きは、他国から見て曖昧な点があることも事実だ。香田氏は語る。
「気をつけなければいけないのは、先制攻撃の前提となる『米国に対する攻撃の兆候』を決めるのは米国だということだ」
北朝鮮が弾道ミサイルに燃料を入れてカウントダウンが始まった段階か、格納庫のドアを開けて移動発射台を搬出した時点か。米国の「決断の時」を予測するのは難しい。米領グアムの領海内にミサイルが誤って着弾し、それを機に米国が自衛権を発動するとの見方もある。