藤本欣也の中国探訪

中朝国境で命脈保つ北の送金源 中国企業へ衣替えし「永遠に大丈夫」

 米政府によると、世界各国で働く北朝鮮の出稼ぎ労働者は推計10万人(このうち中国に5万人、ロシアに3万人)。北朝鮮は労働者を通じて年間5億ドル(約566億円)規模の外貨を得ているとみられる。

 すでに中国の北朝鮮労働者数は大幅に減少しているもようだが、それでも今なお外貨獲得源として命脈を保っていた。

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 北朝鮮の労働者を多数雇ってきた企業側の打撃は大きい。

 同開発区内の業者を取材すると、「安価な北朝鮮の労働力に依存していた服飾系の工場はやりくりが大変だ。足りない労働者を融通し合ったり、受注を減らしたりしている」

 この業者によると、北朝鮮労働者は1日10時間労働で月給1800元(約3万1000円)。中国人の場合、3000元(約5万2000円)を出しても働き手を探すのが難しいという。

 開発区内の玩具工場を訪れた。3カ月前には約300人の北朝鮮労働者が一心不乱に働いていた。

 やはり、人数は減っていた。3、4割減といったところだろうか。

 責任者という中国人男性に話を聞いた。

 「就労期限を迎えた労働者から帰国している。中国政府の政策により、延長はできませんからね」

 「かといって中国人労働者を雇うのは難しい。注文を減らすしかありません。お手上げ状態です」

 中国当局から「外部には内情をもらすな」とくぎを刺されていると言いつつ、投げやり気味に話してくれた。

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 図們と対岸の北朝鮮・南陽を結ぶ橋梁(きょうりょう)の建設現場に行くと、3カ月前より工事は進み、橋脚の建設が始まっていた。ただ、外から工事状況が見えないようにフェンスが設けられていた。

 建設現場のある図們市内に至る道路では治安当局の検問も行われていた。これまでなかったことだ。

 中国が北朝鮮を支援しているという不都合な事実を隠そうとしているかのようだった。

(中国総局長、写真も)