自動運転車による交通事故をめぐり政府が責任範囲の設定を急ぐのは、今後、成長産業になるとみられるこの分野で先頭集団を走る日本の自動車メーカーを後押しする狙いがある。各国の自動車メーカーやIT関連企業がしのぎを削る自動運転技術の開発競争で、人工知能(AI)の開発などで出遅れた日本の官民が連携して先手を打つ。
自動運転技術をめぐっては、アクセルやブレーキといった複数の操作を自動で行う乗用車などが既に市販化。今年5月に決定した自動運転などの国家戦略「官民ITS構想・ロードマップ2017」では政府は平成37(2025)年をめどにドライバーが操作に関与せず、システムに委ねる完全自動運転車の実用化を目指している。
一方で、自動運転の技術開発や市場投入へのネックの一つとされていたのが、「ドライバーによる運転」を前提としている現行の交通関連法規だった。