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「どうせ裏切る」シー・シェパード捕鯨妨害中止宣言に飛び交う憶測 テロ等準備罪も影響か

追い込み漁で捕獲されるバンドウイルカ。反捕鯨のドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」で批判にされされた=平成27年9月、和歌山県太地町
追い込み漁で捕獲されるバンドウイルカ。反捕鯨のドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」で批判にされされた=平成27年9月、和歌山県太地町

 反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」が突然、南極海での日本の調査捕鯨船に対する妨害活動の中止を宣言したことが、さまざまな憶測を呼んでいる。日本の捕鯨関係者は長年、SSに苦しめられてきただけに、宣言を額面通りに受け取らない人も多い。「不気味だ」「どうせ裏切る」。SSが今後、どういう行動に出るのか、疑心暗鬼が渦巻く。(小泉一敏)

方針転換に「不気味」

 SSの創設者、ポール・ワトソン容疑者=国際手配=は8月28日、南極海での日本の調査捕鯨船に対する妨害船を今冬は派遣しないとする声明文を出した。

 SSが理由に挙げたのは資金不足に加え、日本側の監視体制の強化で妨害活動がしづらくなっているというものだ。日本が衛星を使って妨害船の動きを捕捉。容易に調査捕鯨船に近づけなくなり、費用のかさむ直接の妨害行為から手を引くとしている。

 さらにSSは、日本で新たな法律が施行されたことも理由に挙げた。国際社会と連携してテロや組織犯罪に立ち向かうため、共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法(7月11日施行)を指すとみられている。

 ただ、SSは2005(平成17)年から毎年、日本の調査捕鯨船に対し妨害活動を行い、捕鯨船に向けて信号ロケットを発射したり薬品入りの瓶を投げつけたりし、さらには、スクリューにロープを絡ませるなど数々の過激な活動を繰り返してきた。昨年からは高速の新型艇の派遣にも踏み切った。それだけに、関係者は宣言の真意を測りかねている。

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