主張

文氏の「合意」批判 国家関係を損ねたいのか

 日韓関係を損なうことは目に見えている。現下の情勢を顧みない、あきれた発言である。

 韓国側の日韓合意検証を受けて、文在寅大統領が「この合意では慰安婦問題は解決できない」などと表明した。断じて容認できない。

 文氏は「当事者(元慰安婦の女性)を排除した政治的な合意」であり、「気が重い」と述べたという。

 北朝鮮の新たなミサイル発射などが懸念される中、緊密な連携を取るべき隣国の指導者がこれでは日本こそ気が重い。

 繰り返すまでもないが、日韓合意は両国関係を損なってきた慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的な解決」を表明したものだ。見直す余地などない。

 北朝鮮問題など地域の安全保障環境を考え、関係改善が欠かせないと歩み寄った経緯もある。政治的というなら、解決済みの問題についてあえて日本が付き合い、韓国側は面目を施したといえる。

 その意義も顧みずに批判するのは、前政権の失政探しに汲々(きゅうきゅう)とし、日韓関係を悪くする材料を自ら生み出す行為である。

 元慰安婦らを「排除」したという指摘もあたらない。日本政府が拠出した10億円による財団の支援事業を、元慰安婦の多くは受け入れている。

 慰安婦問題で看過できないのは、旧日本軍の「性奴隷」などとする歴史の捏造(ねつぞう)により、日本の名誉が傷つけられていることだ。

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