取材の現場から

西成准看護師殺害事件 日中の壁、身柄移送に2年8カ月

移送され、関西国際空港に到着したオーイシ・ケティ・ユリ被告(中央)=1月25日
移送され、関西国際空港に到着したオーイシ・ケティ・ユリ被告(中央)=1月25日

 報道陣がカメラを構える中、顔を隠すことなく空港内の通路を進んだ。固い決意を秘めたような表情。大阪府警の捜査幹部は「取り調べは一筋縄ではいかないだろう」と顔をしかめた。

 1月25日夕、関西国際空港に、日系ブラジル人のオーイシ・ケティ・ユリ被告(33)=強盗殺人罪などで起訴=が、身柄を拘束されていた中国・上海から移送された。事件発生から約3年が経過していた。

 平成26年5月、大阪市西成区の准看護師、岡田里香さん=当時(29)=が約2カ月前から行方不明になっていることが発覚し、東京都内のトランクルームで遺体で見つかった。トランクルームは上海に出国していた岡田さんの知人女性が借りていた。オーイシ被告だった。遺体は「人形」として岡田さん方から、当時オーイシ被告が住んでいた都内のマンションに宅配便で送られ、近くのトランクルームに移された。

 上海へ出国した手段は大胆だった。ブラジル国籍のオーイシ被告は当時不法残留状態で、事件後、岡田さんから奪った身分証を使って岡田さん名義の旅券を取得していたのだ。

 捜査の手を阻んだのが国境の壁だった。オーイシ被告は上海の日本総領事館に出頭し、中国の公安当局に身柄を拘束されていた。日中間には犯罪人引き渡し条約がないため、府警は外交ルートを通じて引き渡しを求めた。