from社会部

犬猫の理由なき殺処分「ゼロ」目指して 大阪市は昨年度1649匹、全国最多市の不名誉返上を

譲渡会を通じて記者が引き取った猫。最期まで愛情を注ぐことが飼い主の責務だと思っている
譲渡会を通じて記者が引き取った猫。最期まで愛情を注ぐことが飼い主の責務だと思っている

 今年の春から猫を飼い始めた。白を基調に尻尾や後ろ足、頭のてっぺんなどに三毛が混じっている雑種の女の子だ。大阪市内での譲渡会で一目惚れした。

 生後数カ月のときに路上で保護されたというやんちゃざかりの1歳半は、仕事から疲れて帰宅してもすぐに甘えた声で遊びをねだってくる。世話は確かに大変だが、癒やしをくれる大切な家族の一員であり、迎えた以上は最期まで愛情を注ぐことが飼い主の責務だと思っている。

 それだけに大阪市の犬猫の殺処分に関する取材をした際には、「かわいそう」という思いよりも憤りの感情が上回った。

 市が平成28(2016)年度に収容した犬猫は計1649匹。野良犬・猫のほか、迷子やけがで保護されるケースが大半を占めるが、このうち約1割の161匹は飼い主が持ち込んだものだ。事情はさまざまだが、「なつかない」「散歩に行くのが面倒」などの身勝手な理由も少なくないという。

 もちろん、行政側は飼い主の説得に努め、やむなく引きとったケースでも譲渡会などで命をつなごうとしている。しかし現実には28年度、1248匹の犬猫が殺処分された。8割は子猫で、約30年前に比べて10分の1近くに減っているとはいえ政令市の平均(約350匹)を大きく上回り、殺処分が最も多い市という不名誉な事態に陥っている。

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