政府は教育現場で北朝鮮による日本人拉致問題への理解を促進するため、小中学校などの教員を対象にした研修を平成30年度から開始する方針を決めた。授業で拉致問題を取り上げている教員による講義や、被害者が拉致された現場への視察などを通じて拉致問題の教え方を学んでもらう。拉致を知らない小中学生が増え、風化しかねない懸念から、教員研修を通じて啓発活動を強化する狙いがある。
政府の内閣官房拉致問題対策本部が要求し、30年度予算案に事業費1500万円が計上された。
研修では、拉致現場のほか、横浜市の海上保安資料館に展示されている北朝鮮の工作船などを見学する。拉致問題対策本部はこれまで教育現場などから要望があれば、啓発活動に出向いていたが、拉致問題が風化しないよう本部側が主導して啓発活動に乗り出す必要があると判断した。
研修初年度は、まず小中学校や高校の教員を指導する立場の教員を対象に実施する。その後、一般教員にも対象を拡大する方針だ。
政府は、中高生を対象に、拉致被害者の横田めぐみさん(53)=拉致当時(13)=に関する作文コンクールなど啓発活動を展開してきたが、教育現場によっては拉致問題を教えることに消極的なケースもある。