脳を知る

認知症の方の一人暮らし 施設入所のタイミングは 

「お金や通帳がなくなった」と頻繁に電話してくる母。施設に入所した方がいいのか
「お金や通帳がなくなった」と頻繁に電話してくる母。施設に入所した方がいいのか

 「お金がなくなって、どうしたらいいか分からない」。そう言って娘さんに電話がかかってくることが多くなり、心配した娘さんが私の物忘れ外来に母親を連れてこられました。

 本人は80歳近くの方で、娘さんの家から2時間半も離れた山間部で一人暮らしをしていました。「お金や通帳がなくなった」「運転免許証がなくなった」と娘さんに電話をかけてきたり、少し前に夫が亡くなっているのに「夫が来るから布団を敷かないといけない」と言ったりする症状がありました。娘さんが長時間をかけて家まで訪ねていっても、いつも不安そうにしているとのことでした。

 物忘れを調べる検査をすると30点満点の24点で、認知症と正常の境界くらいの物忘れがあり、脳血流を調べる検査(SPECT検査)では前頭葉から頭頂葉の血流の低下を少し認めましたので、「早期のアルツハイマー型認知症」と診断し、認知症の進行を遅らせる薬を処方して様子をみることにしました。また介護保険を利用して、デイサービスに行くことを勧めさせていただきました。

 薬の服用を開始し、次の診察時には少し効果が出はじめてきたようです。不安になって娘さんに電話をかけてくることが減り、娘さんが家まで行くと「おかえり」と明るい声で返事をするようになりました。

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