転機は23年の東日本大震災だ。激しい揺れで老朽化した店舗が使えなくなり、マスターは閉店を決意。ポンの処遇は関係者で話し合い、滝広さんが引き取った。その頃、杉作さんとのコンビで出版した猫漫画がヒット中でもあり、「落ち着いたらポンの漫画も…」と引き合わせを約束。
しかし、約束の日の4日前に突然の別れが訪れる。ニューキャッスルに現れて15年、老衰で天に召された。
内面の魅力に迫る
それでも杉作さんは、亡きポンの実像に迫ろうと周辺人物を取材して回った。「人に捨てられたのに、人を好きになる前向きさがすごい」と印象を語る。「最初はマスターに冷たかったそうですが、病院に連れていったら恩に感じて急になついたそうで。人と心を通わせながら半野良として自立し、老いては飼われることを受け入れた賢い猫です」
エンターテインメントとして多少の脚色を加えつつも、ポンの生きざまを忠実に描いた漫画には後日談があった。