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累計35万部、映画化もされた猫漫画の名作「猫なんかよんでもこない。」を生んだ漫画家・杉作さん(51)と編集者・滝広美和子さん(40)の名コンビが再びタッグを組んだ新刊ノンフィクション「ねことマスター 幸せをよぶ看板猫」(実業之日本社)が話題だ。舞台は東京・銀座の老舗喫茶&カレー店「ニューキャッスル」。東日本大震災を機に引退した先代マスターの宮田博治さん(75)と野良猫のポン、常連客たちが紡ぐ、都会の片隅の温かな実話が胸を打つ。(重松明子、写真も)
店の前にプレゼントされた猫小屋
ニューキャッスルは戦後、焼け野原となった中央区銀座2丁目に宮田さんの妻の父、柳田嘉兵衛氏が創業した。
当時の木造トタン張り一部2階建ての店舗は平成に入ってからも大切に使われ、ビルの谷間のレトロなたたずまいが昭和の面影をとどめていた。そんな平成12年のある日。軒下の公衆電話の足もとに、メスの子猫が棲み着いたところから物語は始まる。