回顧2017

現代演劇 創造の中核担う70年代生まれ…歴史的転機や喫緊の社会問題を取り上げた作品生み出す

 演出家では、新劇団の森新太郎、上村(かみむら)聡史、高橋正徳、眞鍋卓嗣らが70年代生まれで活動も際立ち、劇チョコの日澤、次期新国立劇場演劇部門芸術監督の小川絵梨子らも確かな仕事をした。作・演出ではシライケイタ、前川知大も健闘。

 没落感を深める日本の現状に触発されて、敗戦直後の日本や日本人の在り方を問うた作品の上演も集中した。新劇系5劇団の交流プロジェクトによる三好十郎の「その人を知らず」(鵜山仁演出)、文学座の上村が演出した真船豊の「中橋公館」などが重厚。新国立劇場でも三島由紀夫「白蟻(しろあり)の巣」、安部公房「城塞」、田中千禾夫「マリアの首」など敗戦直後の日本を描いた作品を取り上げた。

 一方、新国立劇場、SPAC(静岡県舞台芸術センター)、世田谷パブリックシアターなどの公立劇場が開場20年を迎えた。

 SPACは宮城聰(さとし)・芸術総監督演出のギリシャ悲劇「アンティゴネ」が、アジアの劇団として初めて仏アヴィニョン演劇祭のオープニングを飾り注目を浴びた。新国は現代欧米戯曲を日本で初演する企画などを積極的に打ち出した。世田パブは、野村萬斎演出による「子午線の祀(まつ)り」など大型企画をそろえた。しかし、創立の理念が希薄化しているのも実情で、原点に戻り芸術監督の役割を再考すべき時期に来ている。