糸魚川大火1年 復旧から復興へ

(3) 被災者気遣う相談員 生活再建も重要課題

 糸魚川市中心部の住宅や商店などを焼き尽くした大火から、22日で丸1年。慣れ親しんだ家屋だけでなく、思い出の品や大切な物も全て灰となり、変わり果てた街の姿を目の当たりにしたショックを抱えたままの人は少なくはない。市は復興に向け、にぎわいを生み出すための取り組みとともに、被災者の心のケアや暮らしの支援にも力を入れている。生活支援相談員の加藤亜祐美さん(36)は7月から、わが家から焼け出された被災者の訪問を続けている。(松崎翼)

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 ◆変化を見逃さない

 「お変わりはないですか。困っていることはありませんか」。市から相談員に任命された加藤さんら市社会福祉協議会の職員2人は週に5日、被災者の自宅を1日当たり7、8軒ほどを訪問する。心身の健康や補助金などの相談に応じる中で「少しやせたかな」「以前よりも笑顔が少なくなった」といった具合に、表情や顔つきなどの変化を見逃さないように気を付けている。

 何気ない日常会話で被災者の心を和らげることと併せ、相手の話をよく聞き、元気よく接することを心掛けている。「被災者と市の間をつなぐ相談員が、暗くなっては駄目なので」。加藤さんはこう説明する。

 大火によって分断されてしまったコミュニティーのつながりを取り戻そうと、さまざまなイベントも企画している。8月には長岡まつり大花火大会の観覧、10月には長野・志賀高原への日帰り旅行を楽しみ、好評だった。

 「気分をリフレッシュしてもらい、日頃のストレスを少しでも軽減できれば」と加藤さん。イベントには毎回30人ほどの被災者が参加し、定員いっぱい近くになるという。

 家にあったアルバムが焼け、思い出の写真を全て失った人も多く、イベントで撮影した写真を無料でプレゼントするサービスも喜ばれている。加藤さんは「地区同士の交流が途絶えないようにするイベントも、どんどん企画したい」と知恵を絞る。

 ◆要望を即時に把握

 10月下旬には、被災者らが復興に関する情報を得たり、気軽に集える場となる市の「復興まちづくり情報センター」が糸魚川駅から徒歩数分の同市大町にオープンし、生活支援相談員を含むスタッフ4人が常駐する。ただ、訪れる被災者はまだ少なく、月当たり約400人にのぼる県外からの視察者が目立っている。

 スタッフの一人で、大火復興集落支援員の矢島好美さん(35)は「市民の意見を聞かずにまちづくりを進めても、にぎわいは生み出せない。要望をリアルタイムで受け止め、把握できる場にしたい」と話す。センターを被災者らに活用してもらい、市街地の再生につなげたいと願っている。

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