理研が語る

スパコン支える「見えない研究」 職人技に頼らず複雑な機械を思い通りに制御する「技術者のための技術」

【理研が語る】スパコン支える「見えない研究」 職人技に頼らず複雑な機械を思い通りに制御する「技術者のための技術」
【理研が語る】スパコン支える「見えない研究」 職人技に頼らず複雑な機械を思い通りに制御する「技術者のための技術」
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 パソコンをお使いの方は、「ファイル」のアイコンをダブルクリックした経験をお持ちだろう。巨大なスーパーコンピューターでも、実はデータはファイルとして扱われている。しかし、データが非常に大きいため、それを支えるシステムはパソコンとはかなり異なる。

 ほとんどのパソコンはすべてのデータを1台のディスクに保存しているが、スパコンは大量のディスクにデータを分割して保存する。簡単に言えば、データを千個に分割し、同時に千個のディスクに書き込めば千倍の性能が得られる、という発想である。

 だが話はそれほど単純ではない。千個のディスクのうちたった1個でも他のデータの処理と同時に使用されているものがあると、そのディスクの処理待ちのために全体が遅くなってしまう。このような事態を避けるため、スパコンの技術者はデータの配置を調整し、各ディスクが受け持つ仕事量を均等に保っている。

 データ配置に限らず、スパコンでは細かな調整が性能の大きな差につながることが多い。この調整は職人技とも言える高度なもので、日本が世界に誇る技術である。ただ、熟練の技術者に頼るのみでは、スパコンの利用者は限られてしまう。そこで私は、職人技の調整をしなくとも一定の成果が得られる仕組みを開発し、スパコンの使い勝手を向上させる研究を行っている。先の例で言えば、データ配置の調整を自動化する技術である。

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