河野太郎外相の祖父で、昭和31年10月の日ソ共同宣言合意に尽力した当時の河野一郎農相が、ソ連による日本の国連加盟反対や日ソ漁業交渉をめぐり同年3月に来日したダレス米国務長官から米国の関与と協力の言質を引き出していたことが明らかになった。太郎氏は北方領土交渉で「腹案がある」として協議進展に意欲を示しているが、かつて対ソ外交を担った祖父の存在も影響しているようだ。
一郎氏は31年3月18日、東京の米国大使館でダレス氏と会談し、日本の国連加盟に関し「米国としても考慮してもらいたい」と述べた。ダレス氏は「日本がますます伸びることを米国は希望している」と協力する姿勢を明言した。
また日ソ漁業交渉に関し、一郎氏が「オホーツク海、北太平洋方面で日本との間でトラブルを起こすおそれがある」とソ連への不満を打ち明けると、ダレス氏は「米国も重大関心がある」と応じた。
太郎氏は自身が2歳半のときに他界した祖父への思い入れが強い。
「私のおじいさんは日ソ平和条約締結に向け尽力した。日本で最初にクレムリンに入った政治家だ」