軍事ワールド

北朝鮮攻撃は避けられないのか 先送りすれば死者は5倍以上との説も…。米外交専門誌が示す「認めたくない未来」

 ジェームス氏は「金正恩政権の破壊を目的に予防戦争を行った場合は、北朝鮮が韓国と日本へ核攻撃を行う、もしくは攻撃を試みることにつながる」とし、20キロトン弾頭のミサイルは半数が韓国を、残る半数が日本を標的に発射されると想定。一方で韓国に配備された高高度防衛ミサイル(THAAD)や日米のイージス艦に配備されたSM-3、空自の迎撃ミサイルPAC3などで迎撃される可能性や、機械的な故障もふまえ、半数が失敗、残る半数が目標上空で爆発したとの仮定で死者数を算出した結果、日本と韓国で140万人が死亡すると予測する。

 第二次大戦時の広島と長崎での原子爆弾による死者数(広島14万人、長崎9万人)を遙かに上回る大惨事となる。「予防戦争」など決してあってはならない、と誰もが思うだろう。しかし予防戦争を行わなかった場合の結果は、さらに悲惨な事態につながるとジェームス氏は強調する。

判断ミスが核戦争に

 予防戦争を行わない場合、北朝鮮は核・ミサイル開発を放棄せず話し合いも空しく北朝鮮の核保有・核開発が続くとジェームス氏はみる。これはもうひとつの選択肢である「核抑止」の状態だが、大きなリスクが潜んでいる。偶発的に核戦争が始まる危険性だ。冷戦時代、米国とソ連は核抑止の状態にあったが、危機一髪の事態を何度も経験している。

 今年9月20日、「核戦争を防いだ旧ソ連軍人死去」とのニュースが報じられた。旧ソ連軍中佐のスタニスラフ・ペトロフ氏が今年5月、モスクワ郊外の自宅で死去していたことがわかったのだ。ペトロフ氏は米弾道ミサイルの警戒任務中の1983年9月26日、5発のミサイルが発射されたとする警報を受信したが、ミサイルの数の少なさなどから警報システムの誤作動と判断し上官に報告しなかった。実際にミサイルは発射されておらず、同氏の判断により米ソは核戦争に突入する危機を免れることができたとされる。

 より緊迫した事態が、1962年のキューバ危機の際に発生している。

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