「産経と道新のみ」とツイートした医師・村中璃子氏 子宮頸がんワクチンの安全性を積極発信のワケ

 「とはいえ、メディア批判はしたくありません。トルコの海岸に打ち上げられた3歳のシリア難民の男の子の写真が、難民問題から目を背けていた欧州の人たちの意識を変えたように、メディアには大きな力があります。私自身も、メディアを使ってものを言ってきました。できれば自分が書いた記事だけで社会を動かしたかったけれど、この受賞が話題になり、また子宮頸がんワクチン問題に関心が集まったことは良かったと思います。これからも、子宮頸がんワクチン問題に限らず、科学と真実に基づいた発信を続けたいと思います」

 ●日本では集団訴訟

 子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンのことだ。筋肉注射で3回接種する。小学6年から高校1年に相当する女子を対象に、平成22年11月から補助事業として無料接種が始まり、25年度からは予防接種法に基づく定期接種となった。しかし、体のしびれや痛みなど接種後の副反応として知られていない症状が報告されたとして、接種を促すはがきを送るなどの積極的な勧奨は同年6月から差し控えられている。世界保健機関(WHO)や日本産科婦人科学会は、子宮頸がんの患者が増える恐れがあるとして、勧奨再開を求めている。

 一方、接種が原因で健康被害を受けたとして、東京、大阪、名古屋、福岡の4地裁では国と製薬会社2社を相手取り、集団訴訟が起こされた。原告は計124人に上る。

 〈むらなか・りこ〉 一橋大学社会学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。北海道大学医学部卒。WHOの新興・再興感染症チームを経て、エボラ出血熱から水素水まで幅広く、科学・医療分野の執筆・講演活動を行う。京都大医学研究科の非常勤講師も務める。