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城の姿は忠実に再現されるべきか、それとも、少しばかりの変更ならば許されるのか-。そんな議論が、名古屋城復元で沸き起こっている。問題の発端は、復元に際してのエレベーター設置の是非だ。細部まで当時にこだわりたい姿勢の名古屋市は未設置の方針だが、障害者団体は「弱者無視だ」と反発し、再考を求めている。「城ブーム」に沸く各地の天守でもバリアフリーへの捉え方には幅があり、有名な城でもエレベーターが設置されていないケースもある。「双方の考えに間違いはなく、歩み寄りが必要だ」。専門家は、こう指摘するが、金のしゃちほこを誇る城再建をめぐる論争は、しばらく収まりそうにない。(細田裕也)
■「忠実な再現」でEV採用せず!
1612(慶長17)年に完成した名古屋城の初代天守。その後空襲で焼失し、現天守は昭和34年に鉄筋コンクリートで再建された。屋内2基、屋外1基のエレベーターがあり、地上5階までは車いすで移動できる。
一方、現天守の老朽化に伴い取りざたされているのが、江戸時代の初代天守(木造)の復元構想だ。河村たかし市長の目玉施策で、総工費は約500億円に上る。戦後に再建されたコンクリート天守の木造による建て直しは全国初。現天守を解体し、2022年末の完成を目指す。