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今から3年前の平成26年、国内外食業界では、誰もが知る大手企業の経営を揺るがす不祥事が相次いだ。従業員の過労自殺問題などから客足離れを招き、本業のもうけを示す営業損益がついに赤字へ転落したワタミ▽手間がかかる鍋定食の導入から従業員1人で店を回す「ワンオペ」の限界を招き、過半の店で深夜営業の停止に追い込まれた「すき家」のゼンショーホールディングス(HD)▽調達先の中国企業が起こした期限切れ鶏肉問題でイメージが悪化し、一時は年間349億円もの最終赤字を計上した日本マクドナルドHD…。3社の中でも特にダメージが大きかったのは、3期連続の最終赤字に陥ったマクドナルドだろう。しかし問題発生から1年余りで販売減に歯止めを掛け、29年12月期の最終損益は上場以来最高となる200億円の黒字を見込む。どん底から鮮やかなV字回復を成し遂げた。何が起きたのだろうか。
「マクドナルドは、必ずよみがえると信じていた」
サラ・カサノバ社長(52)は3年前の心境をそうふり返る。しかし当時、多くの日本人にとって社長就任2年目の彼女のイメージは良くなかった。
問題発覚後の26年7月末の記者会見で、カサノバ氏は陳謝しながらも「マクドナルドは(取引先に)だまされた」と釈明。同じ中国企業の鶏肉を輸入していた大手コンビニエンスストアの影響は限定的だったにもかかわらず、カサノバ氏は被害者の立場を強調して反感を招き、多くの客を失った。