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来年は明治150年。この区切りの年、文化面で「明治の50冊」の連載を始める。明治時代に発表された作品の中から50冊を選び、毎週1冊ずつ紹介してゆく。従来の秩序や規範が溶解しつつある時代を生きる私たちにとって、明治維新から自由民権運動、日清・日露戦争、大逆事件という激動の時代を生きた明治人の知恵に学ぶことは、国の進路を誤らず、自身の人生を誤らないためにも、とても意味のあることだと考える。(桑原聡)
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少し裏話を。最も大きな問題は50冊をどう選ぶかということだった。まず執筆を担当する6人の文化部記者がそれぞれ推したい作品を複数挙げ、同時に読者の方々の知恵をお借りするためアンケートを募った(アンケートの結果は別項)。選定の基準は作品主義、つまり一人一冊に限定せず複数冊も可とし、翻訳も含めることとした。また「坂の上の雲」をめざしていた時代の「明」だけでなく、裏側の「暗」もきちんと取り上げることで一致した。
選定会議は3回開いた。記者が自分の推薦作品をプレゼンし、質疑応答をかわしながら作品を絞り込んでいった。こうして作成した一次案を、日本近代思想史が専門の先崎彰容日大教授に見ていただき、若干の修正を加えてようやくリストは完成した。