政府、福島風評払拭へ統一戦略 小学校副読本改訂や妊産婦への広報強化など省庁横断で取り組む方針

 復興庁は12日、東京電力福島第1原発事故の風評被害を払拭するための「対策タスクフォース(作業部会)」を開き、省庁横断型「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」を公表した。避難児童へのいじめや福島県の農水産物への風評がなお残るため、全国の小学校で使う副読本の改訂や妊産婦への広報強化など、科学的根拠に基づく正しい情報発信を徹底する。平成30年度予算案に関連費用を盛り込む方針だ。

 福島県では、原発事故による避難指示区域はほぼ解除されているが、農産品への風評が根強く残る。また、文部科学省が4月、県内外に避難する児童・生徒へのいじめが3月までに199件あったとの調査結果を発表している。

 原発事故に関する放射線被曝などの正しい知識に欠けることが原因とされることから、政府は各省庁が個別に行ってきた情報発信のあり方を再点検し、統一的な戦略を立てることを決めた。

 具体的には、全国の小学校に配布している放射線に関する副読本の内容と構成を見直し、いたずらに不安をあおる曖昧な表現を削除する。

 妊産婦についても、母子健康手帳を交付する際にパンフレットを配り、原発事故に関する誤解や偏見の払拭に努める考えだ。

 農水産物も、海外の輸出規制の緩和・撤廃を目指し、各国の首脳や閣僚との交渉のときだけでなく、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じた情報発信を徹底する。

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