大企業の開放特許を中小連携で製品化 自治体の目利き力とマッチングがカギ

大企業の開放特許を中小連携で製品化 自治体の目利き力とマッチングがカギ
大企業の開放特許を中小連携で製品化 自治体の目利き力とマッチングがカギ
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 中小・ベンチャー企業に新事業創出を促すため、大企業などが保有する開放特許の活用を呼びかけるビジネスマッチングが自治体の間で広がりを見せている。経済活性化につながるとして注力する川崎市では市内の中小企業3社が得意技術を持ち寄って製品化、11月から販売を始めた。マッチング成果としては29件目だが、中小企業グループと大企業の組み合わせは初めて。埼玉県でも企業連携が奏功し、企画から1年もたたないスピードで初の成果が生まれた。製品化に必要な技術を持つ地元企業を熟知するコーディネーターの目利き力が製品化を早めた。

 「常日頃から企業まわりを続けているので、今回の開発に向いている企業を探し出すことができた」。中小企業の新事業展開などを支援する川崎市産業振興財団の宇崎勝・知的財産コーディネーターはこう強調した。

 川崎市は同財団と連携し、大企業の開放特許を活用して中小企業の新製品開発を促進する「川崎市知的財産交流会」を平成19年度から実施。マッチング成果を高めるため、地元企業をよく知るコーディネーターが仲介役を果たすのが特徴で、「川崎モデル」と呼ばれる。

 今回、川崎市高津区の和興計測、岩手電機製作所、津田山製作所の3社で構成する「WIT」が清水建設から知財ライセンスを受け、屋根裏や床下などを点検する360度撮影カメラ用の照明付き架台の改良版を共同開発した。

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