ラグビーW杯盛り上げたい…夢見る33歳元ラガーマン 脱サラして始めた大冒険とは

 練習は厳しかった。ボールを持ってパスを回しながら100メートルダッシュする「ランパス」を夏の炎天下で1時間続けた。甘えや妥協は一切許されない世界。練習に耐え抜き、めったに褒めない顧問が「愛知県で一番いいプレーヤーだ」と言ってくれた。それでも遠かった花園だが、大学時代にプレーする夢をかなえた。

 「幼い時に父を亡くし、心身のバランスを崩していたが、ラグビーとの出会いに救われた。限界を超え続けることが求められるラグビーは物事からすぐ逃げてしまう自分にとって最善の良薬だった」

 今、妻と2歳の娘がいる。冒険のために仕事を辞めた夫を、妻はあきれ顔ながら応援してくれる。それでもヘリコプターで麓まで飛ばないと登れない山もあり、挑戦にかかる費用は最大1400万円と見込む。

 資金不足を補うため、ネット上で支援金を募るクラウドファウンディング(https://readyfor.jp/projects/worldtryproject)を始めた。どれだけ集まるか不安だったが、13日まで募集している1回目は8日時点で126人から175万3000円が集まり、まずは目標の150万円は超えた。先は長いが、手応えは感じている。

 「現地でも日本大会のPRになるし、日本でも話題になることで国内の盛り上がりにつながればいい。W杯で何とかスタンドを観客で満たしたい」

 熱いまなざしは2019年W杯での競技場に向いている。

 ●ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会=2019年9、10月に日本国内で行われるラグビー競技最大の世界大会。各地区予選を勝ち抜いた20カ国が出場する。1987年から4年に1度開かれ、今回で8回目。夏季オリンピック、サッカーW杯に次ぐ規模の世界3大スポーツイベントの1つとされる。11月2日に日程が発表され、来年1月からはチケット販売も始まる。

会員限定記事会員サービス詳細