どういうことか。日本ラグビーフットボール協会によると、今年2月、全国の10〜60代の男女800人を対象に行ったインターネット調査では、「W杯の日本開催を知っている」と答えたのは51%。観戦経験者は10%で、野球の49%、サッカーの26%を大きく下回っている。
こうした現状に長沢さんも危機感を抱いていた。ある日、富士山の上に日の出があしらわれた日本大会のエンブレムを見てひらめいた。「山の頂上にトライを決めれば注目されるのではないか」。富士山だけなら誰でもできる。せっかくなら出場経験国の最高峰にトライしたボールで最後に富士山にトライすれば…。いったん思いついた考えは、仕事中も家にいても頭から離れなくなった。
小さい頃から冒険家の本が好きで、大学時代のお遍路の旅では、歩いた道が伝説となっている高僧・空海に憧れた。卒業後にはバックパッカーとして東南アジアや南米をめぐり世界を半周。平成21年に大手通信会社にシステムエンジニアとして入社後も、24年から2年間、アフリカ・ジンバブエで農業の近代化支援に行っていた。
「誰もやったことのないことをやりたい」。根っからの冒険心に火がつき、昨年12月に思い切って会社を辞めた。
人生変えた熱い言葉…ラグビーへの恩返し
根底にあるのはラグビーへの感謝だ。「歴史を作るぞ」。高校入学時、ラグビー部顧問にかけられた熱い言葉が人生を変えた。