政府が年末にまとめる薬価制度の抜本改革案をめぐり、画期的な新薬を高値で維持する「新薬創出加算」の最終案の全容が9日、分かった。加算はこれまで新薬を開発したほぼ全ての企業と品目に認められていたが、新制度では貢献度の高い上位25%に制限する。当初はより企業数などを絞り込む方針だったが、製薬業界の反発を受け修正した。加算対象の類似薬の要件も、新薬の保険適用後「3年以内」と期限を設ける。
新薬創出加算とは、革新性の高い新薬の薬価を維持するため、発売から薬価改定ごとに値引きされていく分を一定水準まで加算する制度。新薬開発を促す狙いがあり、平成28年度は対象企業が約90社、品目は約820品目で、加算額は1060億円に上る。
適用範囲の絞り込みは、政府が30年度予算編成で社会保障費の自然増1300億円分を削減する一環として行う。政府は来年4月の診療報酬改定で、医師らの技術料にあたる「本体部分」を微増させて薬価を引き下げ、全体の改定率をマイナスにする方向だ。
新薬創出加算をめぐっては、財務省が画期性や有用性が低くても加算対象になる薬品があると指摘。厚生労働省は革新性の低い薬の価格まで高止まりすることを問題視していた。