正論大賞・喜びの言葉

新保祐司氏「戦前と戦後の断絶を乗り越え真の日本人の精神を復活させることが必要」

文芸批評家の新保祐司氏
文芸批評家の新保祐司氏

 この度、正論大賞を受賞するという光栄に浴し、これまでお世話になった多くの方々に対する筆舌に尽くし難い感謝の気持ちで一杯です。

 思い返せば、戦後60年にあたる平成17年8月16日の産経新聞紙上に「敗れざる魂、民族蘇生の鍵」と題した一文を寄稿したのが、言論人としての出発でした。

 リレーエッセイ「私の中の60年-さらば戦後」の番外として掲載されたもので、「海ゆかば」の作曲家・信時潔について触れつつ戦後の日本人の精神の在り方を問題にしたものです。これは、内村鑑三の「デンマルク国の話」にある「戦に敗れて精神に敗れない民が真に偉大なる民であります」という言葉を引いて、「戦に敗れ」た戦後の日本人は「精神に」おいても敗れつづけたのではないか、それは「海ゆかば」を「封印」してきたことに象徴的に表れているのではないか、と問うたものでした。

 それから10年余り、私の出来る分野で、例えば音楽を素材として「民族蘇生」に貢献するための言論を執筆して来ました。日本人が「戦に敗れて精神に敗れない民」に蘇生していくためには「敗れざる魂」が重要であり、戦前と戦後の断絶を乗り越えて真の日本人の精神を復活させることが必要だと思うからです。

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