終末期がん患者どう支えるか-医学生と宗教者が「死」を考える 10年以上続く滋賀医科大の名物講義「医の倫理合同講義」

終末期がん患者どう支えるか-医学生と宗教者が「死」を考える 10年以上続く滋賀医科大の名物講義「医の倫理合同講義」
終末期がん患者どう支えるか-医学生と宗教者が「死」を考える 10年以上続く滋賀医科大の名物講義「医の倫理合同講義」
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 終末期のがん患者を、医療、宗教それぞれの立場からどう支えるかを考える名物講義が、滋賀医科大(大津市)で10年以上続いている。医学科の4年生を対象とした「医の倫理合同講義」で、年に1度だけ開かれている。内部の医学生と外部の宗教者が互いの役割を知って「死生観」を深め、終末期の患者との向き合い方を議論する。治療の技術習得にとどまらず、患者と向き合う医療関係者の育成につながると注目されているという。

事例を検討

 肺がんで余命1カ月と診断された50歳の男性は死の恐怖を抱えると同時に、仕事ができない喪失感を募らせていた。今年11月13日に行われた合同講義で検討された事例だ。

 講義では、医学科の119人と看護学科の6人、学外の宗教者44人が、9〜11人ずつの班に分かれた。「悔いなく余命を過ごしてほしい」「死を受け入れてもらいたい」。学生からは、もし自分が担当する患者だったらどう対処するかという観点で意見を出されたが、大半が口にしたのは医療側からの希望だった。

 すると、患者の言いたいことをひたすら聞く「傾聴」を実践している、ある僧侶がこう諭した。

 「この方は自分がどうなるかを知った上で苦しんでいる。そのとき、どうしたり、どう言ったりすれば共感してもらえるだろうか」

 学生に対し、表面的な言葉や態度ではなく、患者の立場や気持ちに思いを寄せるよう促したのだ。

 合同講義後、医学科4年の平林歩さん(22)は「宗教者の見方は、いい意味で私たちと違っていた。患者に与えられるものも異なると思う」と語った。

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