ニューヨーク、ワシントンをも射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に北朝鮮が成功したことで、半島情勢は発火点にさらに近づいた。現行レベルの制裁では北の核ミサイル開発を止められないことが明確になったといえる。
≪強まる軍事オプションの発動≫
今後、中国やロシアが石油全面禁輸を含む北の経済封鎖に協力するなら、さらに様子を見るという選択肢もあるが、期待できないだろう。北でクーデターや民衆蜂起が起き、国際常識に従う新政権に代わるのがベストだが、願望は政策ではない。
事態を動かすカギはアメリカの軍事力である。脅威は相手の意思と能力の関数だが、北の意思(独裁者)と能力(核ミサイル)いずれの無力化についても、アメリカの軍事攻撃以外の選択肢はますます見当たらなくなってきている。
米トランプ政権は中国に対し、アメとムチの両様で臨んでいる。中国が北朝鮮の経済封鎖に協力しないなら、軍事オプション発動しかなく、在北中国資産も相当破壊されるだろうが覚悟しておけというのがムチである。北と取引を続ける中国事業体への制裁もムチの一環だが、それが主役であり得た時期は過ぎつつある。