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「自分が死んだらどうしよう。そのことばかり考えている」。埼玉県の女性(63)は、息子(32)のひきこもりに悩んでいた。息子は時々部屋を出て姿を見せるが、感情の浮き沈みが激しく、暴力を振るうこともあるという。
思春期に友達ができず、家にこもった。何とか大学に通ったものの、就職もせず約10年間、部屋でゲームなどしているという。
「今はまだいいが、私はあっという間に80歳になる。急に死んだとき本人はどうしたらいいか分からない。相続など複雑な手続きがあるが、とても外に出られる状況ではない」。女性はそう打ち明けた。
内閣府は昨年、15〜39歳を対象の調査で、ひきこもりは全国で約54万人いると推計。高齢化も進んでいる。以前は10、20代が多かったが、こうした子供がその状態を脱出できなかったのか、近年の山梨県や島根県などの調査では、ひきこもりの過半数は40歳以上というデータがある。
親子が共倒れになるケースも。昨年11月、岐阜市内の民家で70代の夫婦とその長男(43)の遺体が発見された。岐阜県警の調べでは事件性がなく、両親の死因は不詳、長男は餓死。同市によると、長男は長年ひきこもっており、職員が訪問し両親に支援を申し出ても断られていたという。