神戸のパンダにもパートナーを 王子動物園、中国からの貸与 外交からみ難航

神戸市立王子動物園の雌のジャイアントパンダ「タンタン」。7年間もパートナーが不在だ=同市灘区
神戸市立王子動物園の雌のジャイアントパンダ「タンタン」。7年間もパートナーが不在だ=同市灘区

 東京・上野動物園で生まれたジャイアントパンダの赤ちゃんの公開を来月に控えて盛り上がりを見せる中、雌パンダ1頭を飼育する神戸市立王子動物園(同市灘区)は雄の貸与を求め中国側への働きかけを強めている。同園は7年前に雄を失って以降、繁殖が実現していない。園長自ら訪中するなど交渉を続けているが、日中間の外交カードにもなるパンダの貸与は一筋縄ではいかないようだ。

 現在、同園で飼育中の雌のタンタンは平成12年に雄のコウコウと一緒に来園。この貸与は阪神大震災の被災地を励ます意味もあり実現した。繁殖にも取り組んだが相性が合わず失敗。14年に来園した2代目コウコウとの間には赤ちゃんが生まれたが、直後に死んだ。子宝に恵まれない中、コウコウが22年に麻酔中の事故で急死。翌23年に中国と新たに雄の貸与について文書を交わしたが、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる問題などで日中関係が悪化し、交渉が難航していた。

 タンタンは現在22歳で、人間の年齢に直すと60代後半と高齢なため繁殖を急ぐ必要がある。同園の中井恭一郎園長は局面の打開に向けて7月に自ら訪中。貸与の窓口である中国野生動物保護協会で貸与を求めた。

 また、10月には、神戸市が友好都市提携を結んでいる中国・天津市の天津動物園に、王子動物園からアフリカ原産の希少なサル「アビシニアコロブス」2頭を贈った。

 神戸市議会の日中友好議連も今年から貸与に向けた動きを本格化している。4月、久元喜造市長の親書を持って中国大使館を訪問。10月以降は中井園長が日本の外務、環境両省の担当者と面会して支援を求めた。

 中井園長は「何としても雄パンダを誘致し、悲願の繁殖につなげたい」と話している。(小松大騎)

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