映画深層

元ピンク四天王 今大人気の監督がAV女優の心象描いて話題「最低。」のキーワードは承認欲求

ストローにも名前を書く承認欲求

 今回、「最低。」の監督に当たり、ピンク映画時代の先輩でAVの監督をしている人に取材して両者の違いを肌で感じた。まず撮影に関しては、ピンク映画が隠す作業であるのに対し、AVは見せる行為だという違いがあるが、女優気質にも差があるという。

 「僕らがピンク映画をやっていたときは、女優さんもどこかサブカルチャー好きというか、面白そうだから参加しようという人が多かった。でも今のAV女優は承認欲求とお金だというんです。自分を認めてほしいんですね。私はここにいるんだと。現場に行くと、スリッパにもコップにも、ストローにまで『○○ちゃん』って名前が書かれているらしい。自分が定かでない時代において、若い女性たちの一部に承認欲求があって、それを満たしてあげるのが撮影現場の一つの仕事にもなっているんです」

 承認欲求が強いのは何もAV女優に限らない。瀬々監督によると、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で情報を発信する行為もまさにそれに当たり、だから女性と社会との軋轢(あつれき)を描く「最低。」は、今の時代を如実に反映させた映画といえる。

 「古いタイプの男女ものだったら、エロスの世界は向こう側にあって、日常とは別みたいなところがあった。そっち側に行くか行かないか、橋を渡るか渡らないかが大きなテーマで、心中ものなんかそうですね。でもAVの世界観は、日常の横にごろりと性愛の世界が転がっている。そこに敷居はない世の中になっている。そこをつかみ取れるような映画を、女性を通してやりたかったというところはあります」

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