正論

米韓同盟は消滅の危機にある 韓国の「三不政策」が米の嫌悪感を増幅しかねない 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

 現下の朝鮮半島問題を米国の立場から考えれば、中国という巨大国家との衝突は何としても避けたい。「利権」の幾分かは中国に分け与えねばなるまい。そして実質的には米中による分割統治のような地政学が朝鮮半島に生まれる可能性がある。

 韓国が無力化され、中国がこの中に割り込んでくる事態となれば、日本の危機は一段と差し迫ったものとなる。日清戦争開戦前夜の極東アジア地政学の再現である。日清戦争とは清国に服属していた李氏朝鮮が政争や内乱のたびに清兵の派兵を要請して、これが海峡一つ隔てた日本に不安と恐怖を誘発して勃発した戦争だった。

 過日、久しぶりにソウルを訪れ、知識人を中心に憂国の重鎮の話をうかがう機会を得た。デモや集会や結社の自由はふんだんにある一方、言論の自由、とりわけ対北朝鮮、対日関係の言論には自由がきわだって少なく、何か政権の意に反する言説を吐けばすぐに名誉毀損(きそん)や損害賠償の対象になるとの懸念を聞かされた。司法では原告勝利が原則となっているらしい。韓国はもはや自由民主主義の国とはいえないという嘆息をもらされ、暗然たる気分で帰国した。(拓殖大学学事顧問・渡辺利夫 わたなべとしお)

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