正論

米韓同盟は消滅の危機にある 韓国の「三不政策」が米の嫌悪感を増幅しかねない 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫

ではない。米国を敵視し、あからさまに矢を向けてくるがゆえにそれを制したいだけである。平和協定締結が米国の国益にとって急を要するとなれば、その挙に出ないとはいいきれない。万一、そうなった場合、米国にとっての韓国の重要性は劇的に凋落(ちょうらく)し、在韓米軍を現在のまま維持する必要性も消滅する。

 いずれも極端なシナリオだが、この2つの間にさまざまなシナリオがありうる。外交とは元来が「多元連立方程式」のようなもので、あらゆるシナリオに対応できる柔軟な思考が欠かせない。韓国にこれを期待できるか。

≪日清戦争前の地政学が再現する≫

 文在寅大統領は、金大中氏、盧武鉉氏のイデオロギーとセンチメントを共有し、これを継承する血族的民族主義者である。金・盧氏に倣って、必要とあらば平壌に行くと選挙期間中に主張した人物でもある。心の底に親北的なるものを潜ませ、南北間の融和を妨げているものが在韓米軍であるとみなし、米韓連合司令部の解体までを視野に入れているのかもしれない。北朝鮮の思うつぼだが、中国の勢力が朝鮮半島全域に拡大する可能性を開くことにもなろう。

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