【北京=藤本欣也】中国空軍が沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」を越えて西太平洋へ至る遠洋訓練を活発化させている。中国共産党機関紙、人民日報は24日、遠洋訓練の「常態化、体系化、実戦化を実現した」と伝えた。
同紙によると、H6爆撃機など複数の空軍機が最近、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡や、台湾とフィリピンの間のバシー海峡の上空を越えて遠洋訓練を実施、南シナ海でも上空からパトロールを行った。
宮古海峡については、日本の防衛省が23日、中国軍のH6爆撃機など5機が同日、宮古海峡上空を飛行したと発表した。中国軍機の同海峡通過は今月3回目。
バシー海峡をめぐっては、台湾国防部(国防省に相当)が22日、中国軍の爆撃機や輸送機、偵察機、戦闘機のほか、空中給油機も加えた約10機の編隊が同日、バシー海峡の上空を越えて西太平洋に出た後、中国大陸に引き返したことを明らかにしている。
人民日報によると、中国空軍の遠洋訓練は2015年に始まり、同年は年間で4回だったが、現在では毎月、複数回実施。「軍用機の航跡は絶えず延び、海上方面での安全保障上の脅威に対する実戦能力が引き上げられている」という。
中国空軍の申進科報道官は「中国共産党大会後、空軍は新時代における戦いに勝利する能力を高めるとともに、海上方面での実戦に向けた軍事訓練を相次いで組織している」と中国メディアに説明している。