JASRACはなぜ洋画の音楽使用料を値上げしたいのか 映画音楽に何が起きた?

 JASRACは、この東京宣言を受けて会見をした。だから、会見にはAPMA会長で、昭和歌謡のヒットメーカー、作曲家の都倉俊一さん(69)らも出席したし、音楽家らが寄せたコメントの内容も東京宣言に重なっている。

 たとえば、映画「ラストエンペラー」などの音楽を手がけたミュージシャンの坂本龍一さん(65)は「日本が、先進国ならびにアジアの中でリーダーシップを発揮し、クリエーターの経済的基盤を守るために尽くしてくださることを願って止みません」。

 映画「レッドクリフ」の音楽を担当した作曲家の岩代(いわしろ)太郎さん(52)も「日本が著作権管理業界における世界の先駆者として、これからの映画業界や音楽業界で、その存在感を広げ、知らしめてほしいと願うばかりです」。

とうてい受け入れられない

 「確かに現状の18万円は、欧州と比べてかなり安い…」

 JASRACの会見を受けて、こう話すのは「外国映画輸入配給協会」(外配協)のある幹部だ。

 ここで、洋画配給会社の集まりである外配協が出てくるのは、実際に使用料を支払っているのが外配協だからだ。

 JASRACに支払っているのは全興連だ、と前述したが、厳密には「JASRACと洋画の音楽使用料について契約を結んでいる」のが全興連で、外配協が費用を捻出して全興連を通じてJASRACに支払っている。

 その外配協は、JASRACの指摘通り、日本の音楽使用料が欧州と比べて安いことは認める。が、「とはいえ…」と、その幹部は続ける。

 「JASRAC側の『興収の1〜2%』という基準では、経営が成り立たない配給会社も出る。とうてい受け入れられない」

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