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「神童も20歳過ぎればただの人」とはいうものの、「神童」という言葉には、どこか魅惑的な響きがある。灘や開成などの名門校で伝説を残す。東大を首席卒業…。人々の羨望や嫉妬、称賛、期待を一身に背負った神童たちのその後を描いた本「神童は大人になってどうなったのか」(太田出版)が、話題だ。長じて、どれだけ社会に役立ったのか。あるいは残念な結果になったのかを追跡。神童はやはり、大人になっても目の離せない存在のようだ。 (横山由紀子)
社会を幸せにする存在
教育ジャーナリストの小林哲夫さん(57)が、取材などで「かつての神童」と出会った経験をもとに、政治家や官僚、医師、弁護士、学者、AV(アダルトビデオ)男優などを追跡。神童をテーマにした理由を「羨(うらや)ましさと嫉妬です。子供の頃、頭がとてつもなくいい人はどうなるのか。素朴な疑問でした」と話す。発行部数は4刷1万3千部と好評で、人々の神童への関心の高さを物語る。
まず本書に登場するのは、黒田東彦(はるひこ)・日銀総裁だ。難関の東京教育大(現・筑波大)付属駒場中・高時代は、図書館の本をすべて読み尽くした本の虫。東大在学中に司法試験にパスし、大蔵省(現・財務省)に入省した。平成25年に日銀総裁となり、金融緩和政策の実施で円安と株高をもたらした。
《日本人を幸せにしてくれたのならば、やっぱり神童はすごい、ということになる》