厚生労働省は20日、政府の「働き方改革」として正社員の副業や兼業を後押しするためのガイドライン案を有識者会議に提示した。長時間労働や健康確保などへの留意が盛り込まれたが、労働者側のメリットが強調されている。ガイドラインは年度内に完成させ、来年度から周知させる。
副業・兼業は就業規則で原則禁止にしている企業が多く、平成26年度の中小企業庁の調査では、認めている企業は全体の14%。政府は労働力人口が減少する中で、積極的に導入するよう意向を示している。
ガイドライン案では「労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的に労働者の自由」とした裁判例を明記。副業・兼業を認めれば、「自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる」としたほか、所得の増加、将来の起業・転職の準備などメリットを挙げた。
副業・兼業を禁止し許可制にしている企業に対しては、労働者の申請・届け出制への転換も促した。ただ、就業時間が長くなる可能性があるため、労働者自身による就業時間や健康管理の必要性に留意。さらに、職務に専念する義務や秘密を保持する義務を意識することなどが盛り込まれた。
職場に出勤せずに自宅などで働く「テレワーク」についてもこの日、ガイドライン案が示された。同様に、長時間労働対策や労働災害の補償など留意点が記載されている。