理研が語る

「ゴジラ」の形態変化は「進化」なのか オタマジャクシがカエルに変わる「発生」では…科学者が食いつくポイント

 だが、残念ながら劇中では、姿を変える前と後でゴジラの遺伝子の変化を確認してはいない。そのため、ゴジラがあの場で進化したとはいえないのである。

 では、ゴジラのあの形態変化はどう表現すべきか。あれは、オタマジャクシがカエルに変態するのと同じ「発生」なのではないかと思う。生物学では、「発生」とは受精卵から成体になるまでの一連の過程を指す。発生と言えば、最近は、進化(エボリューション)と発生(デベロップメント)を結びつけたエボデボという分野も盛り上がりを見せている。

 映画のセリフひとつでここまで話題が広がるのもおかしな話だが、私と同じように「まるで進化」という言葉に反応した生物学者は少なくないのではないだろうか。注目したいのは、あのときのセリフが「あれは進化」ではなく、「まるで進化」であったことだ。

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 【プロフィル】井筒弥那子(いづつ・みなこ) 理研生命システム研究センター多階層生命動態研究チーム特別研究員。実験室で進化を再現する実験進化学に興味を持ち、光のない環境が生物の進化にどう影響を与えるかを調べるため、京都大学で60年以上暗闇で飼育されていた「暗黒ショウジョウバエ」の研究に従事していた。現在は大腸菌を用いて1カ月でできる実験進化を行っている。