美容など不適切な使用が広まり、処方に制限を設けることが議論されている「ヒルドイド」などの医療用保湿剤について、乳がんの患者団体が20日、従来通りの使用ができるよう求める要望書を厚生労働省などに提出した。がんの治療では、放射線治療後に皮膚が乾燥して皮膚炎や皮脂欠乏症となり、多くの患者が保湿剤を処方されているという。
要望書を提出した乳がん患者会「あけぼの会」のワット隆子会長は「放射線治療は終わったが、皮膚がカサカサになって困る」などの患者の声を紹介。がんの治療とは別の医療機関で保湿剤だけを単独で処方されることも多いとして、保湿剤単独での処方が続けられるよう訴えた。
医療用保湿剤をめぐっては、健康保険組合連合会が「公的医療保険の適用外とすべきだ」と提言。厚労相の諮問機関「中央社会保険医療協議会(中医協)」が適正使用のあり方を議論しており、早ければ平成30年度から保険の適用範囲が見直される可能性がある。