広角レンズ

いまやフォント(書体)を味わう時代…理想を求めて写植が残す本への思い

規格1万4000字

 日本人にはもともと文字を楽しんできた歴史がある。今野真二・清泉女子大学文学部教授(59)の近刊『図説 日本の文字』(河出書房新社)は、経文の絵画化や文字尽くしのパロディー版、現代の高速道路標識までを紹介している。「言葉はコミュニケーションの道具というが、文字が言語を書くこと以外に広がっていく面白さに注目した。それは人間が持つ多様性の表れでもある」と今野さん。

 日本語は表意系文字である漢字と、それを元に生まれた平仮名、カタカナから成っているため、「形の面白さを残していて、文字そのものが価値を持ちやすかったのでは」という。

 現在の常用漢字は2136字だが、コンピューターで使う漢字のフォントの規格は約1万4000字にも及ぶ。文字への関心の高まりについて今野さんは、「手で書けるのは1つの文字だけだが、過度のデジタル化でスマホやパソコンの中に文字があふれている。それを見て、使い分けようという気分が出てくるのでは」と分析している。

会員限定記事会員サービス詳細