荒金雅子の多様性の未来(5)

長時間労働の是正は、安心できる職場作りから

 企業の働き方改革が一気に加速している。

 昨年9月、国が一億総活躍社会の実現に向けて「働き方改革実現推進室」を設置したこともあって、私のもとに寄せられる企業からの相談が激増している。たとえば、メーカーからは、育児中社員への仕事の与え方やキャリア支援のあり方、時間制約を持つ社員のいる職場で不平等感をなくし、チーム力を上げる方策について相談された。また、IT企業からは、副業解禁に向けた制度作りや、派遣社員やパート社員に対する同一労働同一賃金を実現する方法についてのアドバイスを求められた。

 それはまさしく、量から質への転換。一方で、仕組みや制度中心になっている企業も。実際に、ノー残業デーを設けたものの、カフェや自宅で仕事の続きを行う「隠れ残業」が増えたり、在宅ワーク制度をつくったものの、複雑な手続きが必要で誰も利用しない制度になってしまったり、といった企業も少なくない。

 限られた労働時間でより成果を生み出す方法について、興味深い調査結果がある。グーグルが昨年公表した労働生産性向上計画「プロジェクト・アリストテレス」によると、その唯一の方法は「職場の心理的安全性」を高めること。つまり、お互いに信頼と思いやりをもち、何でも率直に言い合える関係を作ることが重要なのだ。

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