ビル型納骨堂「梅旧院光明殿」(大阪市浪速区)の運営をめぐり、暴力団に多額の資金が流出した事件で、運営会社「光明殿」の社長、山口幸子被告(63)=法人税法違反(脱税)の罪などで起訴=が自ら現金3500万円を持参し、指定暴力団山口組直系「吉川組」組長、山口俊平容疑者(68)=背任容疑で逮捕=に手渡していたことが18日、捜査関係者への取材で分かった。大阪府警捜査4課は、元夫婦の2人が共謀し、資金を流出させていたと判断。週明けにも背任容疑で幸子被告を再逮捕する方針。
捜査関係者によると、現金の受け渡しがあったのは平成26年3月下旬。幸子被告が現金を持って大阪市内の喫茶店に出向き、俊平容疑者に渡していたという。
光明殿をめぐっては、27年8月までの5年間に、法人税や消費税など計約2億1千万円を脱税していたことがすでに判明。府警はこれらの脱税で得た金が3500万円の原資になった疑いもあるとみて、納骨堂運営をめぐる資金の動きを調べている。
俊平容疑者は事件当時、吉川組の幹部から組長に昇格し、26年4月に同市中央区に組事務所を購入。幸子被告から得た資金を充当していたとみられる。
梅旧院光明殿は、宗教法人「梅旧院」(同市天王寺区)の分院。3500万円はこの法人を介し、俊平容疑者が以前に出願した納骨堂に関する特許権を購入する名目で支払われた。だがこの時点で特許権はすでに失効し、無価値になっていた。