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孵化(ふか)場などのサケの腹を割き、筋子やイクラとして高値が付く卵だけを盗む事件が、北海道で相次いでいる。秋サケの数が記録的に減り、イクラの価格が高騰していることが背景にある。イクラの供給量の減少も心配だが、正月の食卓やすしネタ、弁当にも欠かせないサケがあまりにも無残。誰がこんなむごいことをしているのだろうか-。
北海道岩内(いわない)町で盗難が起きたのは、10月24日のことだ。遡上(そじょう)してきたサケの雄雌の選別作業のために孵化(ふか)場にいた職員が、魚道そばの草むらに大量のサケが遺棄されているのを見つけた。
腹は割かれ、卵が抜き取られていた。その数、179匹(雌173匹、雄6匹)で、被害額は魚卵にして計87キロ(約69万円相当=発生当時の価格)にのぼった。
「資源として育て、放流しているものを盗むなんて…」。岩内町の岩内さけますふ化場で、岩内郡漁協総務課の小倉辰徳係長は大きなため息をついた。
玄人の仕業か
背景には、秋サケの漁獲量が過去約30年で最低を記録し、市場価格が上昇していることがある。
函館市大船町の孵化施設でも10月25日朝、職員がいけすの近くの川にサケ96匹が捨てられているのを見つけた。持ち去られた卵は77キロ(約61万円相当)に上る。いずれも、職員不在の間に何者かが侵入したとみられる。