半島有事 起こりうる危機(下)

対馬海峡波高し…「李承晩ライン」相次いだ漁船拿捕

 計23人の乗組員は2月1日、福岡を出航した。8日午後2時ごろ、韓国・済州島南方の約80キロ沖で、韓国の警備船に拘束された。

 乗組員は釜山に連行された。海洋警備隊ら韓国の当局者が入れ代わり立ち代わり現れた。彼らは魚や米、みそなど、乗組員の私物を持ち去っていったという。

 「小説で良く見る戦国時代の群盗と少しもかはり(変わり)ないありさまでした」。手記にはこうある。

 裁判で、韓国の領海に立ち入っていないとする石井氏らの主張は一切認められなかった。「取り調べから判決まで、全てがただ形式的にやるというだけの」手続きで、乗組員には懲役6〜10月が言い渡された。

 石井氏は半年、刑務所で過ごし、8月27日に釈放された。

 もうすぐ家族に会える-。その希望は、打ち砕かれた。釜山の外国人収容所に送られた。5棟の収容棟があり、計約700人の日本人がいた。

 そこには2年3カ月もの間、収容所で暮らしている日本人がいた。服役を終えたからといって、帰国できる保証はなかった。抑留船員による即時帰還運動も、解散させられていた。

 食事は毎食、どんぶり一杯程度の麦飯だった。十分炊けておらず、岩塩で味付けされた汁物には砂が混じる。魚も腐っているのか、食べられるものではなかったという。