自民党の教育政策に不信感を抱く2つ目は、義務教育の議論がなされていないことだ。現行で小学校と中学校という2つの学校種に分かれている合理的な意義は何か。基礎学力、特に読解力の低下など、学力においても課題が多い。新学習指導要領では、道徳、外国語、プログラミング教育が新たに導入され、時間数の確保が必要であるにもかかわらず、教員の長時間労働の是正を図るという正反対の問題に直面している。
それが夏休みの短縮につながり、一方、「キッズウイーク」なる秋休みを1週間設けようとするなど、全く支離滅裂な政策を連発している。自民党が政権復帰した平成24年の総選挙では経済再生に次ぐ2番目の重要政策として教育再生を掲げ、「六・三・三・四制を見直し、平成の学制大改革をする」など、根本的な教育の改革をするという意気込みが感じられたのとは比べ物にならないほどお粗末だ。
機会均等という教育の無償化の意義は重要だ。一方、高等教育を無償化している諸外国では無償化に見合わない成績なら即退学をさせられる場合もある。大学は単位取得や進級、卒業について、それに値する能力が身に付いているかどうか厳格に評価することが求められる。