アート 美

「小田原文化財団 江之浦測候所」 人に心が生まれた風景

 特に際立つのが「石」だ。庭に配されたのは、古代から近代までの貴重な名石ばかり。法隆寺をはじめ各地の古寺の礎石と伝えられるものや、京都・渡月橋や五条大橋の礎石、昭和期に廃線となった京都市電の軌道敷石まで美しく据えられている。すべて伝統を踏まえつつ、杉本さん自身が配石をしたという。

 もっとも考古遺物や古美術、石の古材などは「僕が選んだというより、ものの方から集まってきて、力のあるものが一番いい場所に配置される」とのこと。そう聞くと、石もどこか、人間に似ている。

【プロフィル】杉本博司

 すぎもと・ひろし 1948(昭和23)年、東京都出身。立教大卒。70年に渡米、74年からニューヨーク在住。写真を主として彫刻や演劇、建築、造園など活動は幅広い。2001年にハッセルブラッド国際写真賞、09年に高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)を受賞。17年、文化功労者に選ばれた。

 <小田原文化財団>杉本が09年に設立した公益文化財団。人形浄瑠璃文楽の公演など伝統芸能・演劇の普及、美術品の保存公開、現代美術の振興が目的。

【ガイド】小田原文化財団 江之浦測候所は完全予約・入替制。神奈川県小田原市江之浦362の1。水曜休。入館料は3000円(税別)。小学生以下は入館不可。予約は公式ウェブサイト(www.odawara-af.com)から申し込む。最寄り駅のJR根府川駅から無料送迎バス(要予約)で約10分、徒歩で45分ほど。問い合わせは(電)0465・42・9170。